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佐賀県知事選挙 2014-2015

 佐賀市の秀島市長とは5年前の市長選挙でお手伝いさせていただいた経緯があり、その時の僕の仕事ぶりを覚えていてくださったとのこと。正直なとこ、その時も100%の力を発揮できたとは思ってないが、こうして呼んでいただけるのは嬉しい限り。

 さて、佐賀県知事に立候補を決められた、名前も顔も知らない候補予定者。12年前に古川さんが初めて佐賀県知事選挙に挑戦された時も、僕は全く知らなかったよなぁなんて思い出しながら…なんでも山口さんという候補予定者は、16日に総務省に辞表出して来たばかりらしく、今は支援者が日替わりで運転手とか付き人を担当しているらしいなんて話を聞くと、まさに12年前を思い出してた。

 

 翌日の18日はまずソフトバンクのショップに行ってプリペイド携帯電話を1台契約して、委任状他の書類を預かって本人名義の口座を開設しに行って、その日で契約が切れる予定のプリウスを、レンタカー屋さんに交渉してマンスリー契約に変更してもらい…みたいな事務的な作業をやったあとに、夕方近くから山口さんとお会いして秘書役を交代させてもらうことに。運転手はその日までの予定だった、僕が以前勤めていた会社の若い男性。翌日以降は運転手がいたりいなかったりで、僕が秘書兼運転手なんてことも。

 山口さんは東大卒の総務省官僚。僕がとやかく言うことなんてない…ハズだった。お会いして話してみると僕と歳は2つ違いだし、山口さんは選挙をやったことがないし、正直なとこ最初の3日間は選挙を戦いぬけるのか不安だらけ。握手の仕方。お辞儀の仕方。言葉の使い方。目線のやり方。姿勢。もっとあったかな(^^; 何よりも、たまに出す弱気な言葉。僕が言うのは失礼にあたる。我慢して、寡黙な秘書に徹していよう。そう気持ちを押さえていたけど…

 できなかった(^^; 当選していただくためにも口やかましく言ってしまった。もちろん全て聞いていただけて、少しずつ良くなる気配を感じていたところに、山口さんの友人が東京から応援に来られた。WEBデザインやプロデュースをされる会社の社長で、その方が山口さんの心の支えになったみたいで、山口さんの表情に笑顔が出始めた。それだけではなく、自信をもった表情が見えてとれるようになり、僕自身がやる気モードに入ったのもその頃だった。  

 12月25日告示で1月11日投開票。この県知事選挙もバタバタ。相手は早々に出馬を表明して、自民党推薦までもらっている元武雄市長。普通に考えたら勝ち目が少ない。そういう逆風の選挙も12年前と重なって、僕のハートに火がついた。とにかく山口さんを勝たせる。いい勝負ができた…だけじゃダメだ。山口さんを応援してくれている全ての支援者のためにも勝たなきゃならない!

 

 選挙戦に入り、百戦錬磨の議員さま方のお助けがあり、なんとか選挙の形になっていったものの、僕にはどうしても拭いきれない疑問点が…なんか足りない。なんか違和感がある。何だろう… 

 そう!事務所に帰ってからの候補者を交えた街演隊とのミーティング!これが全くなかったので、候補者の気持ちがスケジュールに反映されないし、戦略も何も見えてこない。佐賀市だけならまだいいのだが、佐賀県全部が選挙区となる知事選挙なのに、大丈夫なのか?第一、佐賀県知事選挙を経験したことある人が誰かいるの?そんな疑問をぶつける相手もいないし、信じてやるしかなかった。

 25日、26日、27日の3日間は、とりあえず県内を一通り回ってしまう、という計画だったから街演隊はとにかくひた走った。声が聞こえて家をでてみたら、車はもう通りすぎてしまってた…そういう感じだったはずだ。28日からは各地区に人が集まっているから、そこで挨拶をして握手して回る。全く無名の山口さんだから、そのやり方は間違っていないと思った。

 30日、暮れもおしせまって、車も多くて人も手を振ってくださる…ん?12年前の古川さんのときより反応がいいのは何故なんだろう…まだまだ知名度低いはずだけど…なんて思いながらの選挙戦。

 元旦は朝から佐賀市内を歩いて五社詣り。山口さんはご夫人と3人の子どもたちを連れてご家族総出で。そこに秀島市長がご夫人と2人で同行され、事務所責任者の堤市議が先導。僕は写真を撮りながら皆さまのサポート。佐嘉神社前では集まったスタッフたちと手を振って、初詣客の方々に顔を見てもらう。その後は鹿島の祐徳稲荷神社、伊万里の荒熊稲荷神社と回って顔を見ていただく活動。

 2日、3日まではまだ正月だから、人の反応も少なくて当然のところ。でもなかなか悪い反応じゃない。今年は4日が日曜日だったから、仕事初めはほとんどが5日。選挙活動は10日までしかできないから、この時点で残り6日。

 まだまだ負けてる!スタッフが口を揃えてそう言うなか、僕は確信していた。勝てる!理由なんてない。でも、12年前の佐賀県知事選挙では6人の候補者で戦って、自民党が4人を支持で、JAも古川さん支援は唐津くらい?って感じで、組織より無党派層が頼みの綱…って選挙だったから、全くわからなかった。ベテランウグイス嬢さんが3日前になってやっと「平川くん、手を振る人の顔が変わってきた。この選挙勝つよ!」って言ってくださったのを思い出した。そう、残り6日でまさにその「風」が吹いてきたんだと感じていた。

 もちろんそんなことを口にするわけはない。「勝ちます!勝てます!でもまだ追いつきかけたとこで、まだまだこれからです!」山口さんにもそう言って、新聞、テレビの記者さんにもそう言い続けていた。

 いろんなアドバイスを受け、より良くアピールさせるために必死に頑張った山口さん。キツかったはずだ。近くで見ているとよくわかる。だからこそ僕も自分を追い詰めて、「楽」をしないように気合いをいれていた。

 残り2日になった日の夜、山口さんが僕ではなく別の人と唐津まで行く…そんな話しになった。ん?何かおかしいな。僕が同行しない意味がわからない。でもそう言われるとそれはそれで従うのみ。代わりに?秀島市長を鳥栖までお連れし、支援の依頼に行くことになる。翌朝、山口さんを家まで迎えに行って街演隊に合流するまでの間、妙な沈黙が…何があったのか知らないが暗い表情。とりあえず唐津では有力な方と会って支援をお

願いできた…って内容だけは聞けたが、すっきりしないまま活動は続く。

 最終日は佐賀市内10箇所くらいで演説が予定されていて、山口さんも気合いが入りに入ってた。数日前から、自民党総裁の声が録音されたテープが、無作為に選ばれた個人の家に電話で流されたということがあった。自民党の大物政治家も次から次に佐賀に入って相手候補を応援していて、さらには、相手候補の名前が入っていないビラが各家庭に配布された(公職選挙法で定められたビラ以外には、選挙活動用のビラ等は配布できないので、名前を入れずに印刷されたビラ)なんてことがあって、かなり神経質になられていたんだと思う。

 熱く語ることと、熱くワメくことの違い…ギリギリ危なくなりかけていたその表情と話し方も、最後の最後では修正できていたから良かったが、

一歩間違えば大きな失敗につながるとこだった。

 

 こうして17日間の選挙戦を戦い抜いたんだけど、勝つと信じている僕は当選後のことが気がかりで仕方なく、事務所からの指示はなかったが投開票日の夜も運転手には佐賀にいてもらうようにお願いしていた。この時やっと新聞記者さんに「ずっと勝つことを信じてやってきたし、今年に入ってからは勝つと確信しました。でも今感じるのは意外に票差がついて、2万~3万くらい差をつけて勝つと思います!」なんて言って、開票日を向かえることに。

 開票結果3万9千票差で勝利!

予想以上に差が開いたのは、対立候補の陣営が最後にやった悪あがきが反目に出たから?それは僕にもわからない。僕は過去3回の県知事選挙で経験したことを、初めて経験する山口さんが不安にならないように伝えて支えていくだけ。それができたから、僕は今回の県知事選挙に関わることができて良かったと思っている。

 その後は、当選後のテレビ局やラジオ局回りや、当選のご報告回りまで山口さんに同行させていただき、1月14日の初登庁の日にレンタカーを返して、初登庁の様子を写真撮影するとこまでやって、無事に役目を終えた。

 

 当選後の報告で山口さんを市長室にお送りした際、中まで同行させていただく機会があったが、その時のこと。選挙期間中ずっと、僕のことを鋭い目で見ている方がいらっしゃって、僕のことを、気が利かない秘書だ!と思っていらっしゃるのかな?と思っていたのだけど、その方もその場に来られていて…「いやーお疲れさまでした。あなたがいたからこういう結果につながった。」みたいなことを、ニコニコと笑顔で言ってこられ、手まで握って下さったもんだからビックリ。挨拶を済ませ、用件が済んで山口さんと車に向かう途中で、「◯◯さんにあれだけ笑顔で話しかけられたの初めてです。笑顔になられることもあるんですね。ビックリしました。」と正直に話したら、「そりゃそうだよ。◯◯さんは平川ちゃんのことをずっとスパイだと思ってあったからね。ほら、夜に唐津に行く時に平川ちゃんをおいて行ったことあったでしょ。あの時はその話をするためにおいて行ったんだよ。早く切り離すか、心中するか…みたいな話しでね。」ってことだったらしい…「スパイ…そんなにかっこよく見えてたのかな?」ってのは冗談で、寝耳に水だった。人一倍、候補者である山口さんのことだけを見て、4週間まったく休まず、朝から夜まで一緒にいたのに、そう見る人もいるんだろうな。それが仕方ないって思えるのは、今回の県知事選挙は相手候補が自民党の支持をもらっていたということで、県内の自民党国会議員は党本部の方針通り、みんな元武雄市長を応援されてたこと。唯一、今村先生だけは堂々と山口さんを応援してくださったけど、山口さんと鳥取時代に仲が良かった参議院議員の山下さんも、東大法~総務省の先輩だった、衆議院議員の古川さんも、みんな自民党本部の方針通り元武雄市長の応援されてたからな。古川さんの選挙で目立っていた僕が、山口さんのとこにいると違和感あっただろうな。途中で切り捨てられることなく、秀島市長も口添えしてくださったこともあり、全て丸くおさまってよかった。

 

 というわけで約50日間、仕事ほったらかしで選挙にハマることになった年末年始。でもスゴい!戦績6戦6勝!

「選挙の秘書」も、僕の仕事の1つに加えさせてもらうことにしよう!

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